空飛ぶ車とゲームについてイーロン・マスクが語ったこと
移転しました。
今回は久しぶりにインタビューをやりたいと思います。先月(2015年3月)の22日におこなわれたラジオポッドキャストのインタビューから、空飛ぶ車とゲームについてのお話を取りあげていきます。前回のエントリーが長かったので今回は短めでいきますね。
インタビューはこちらから聴けます。イーロン・マスク最新のインタビューです。
The Future of Humanity with Elon Musk | StarTalk Radio Show by Neil deGrasse Tyson
空飛ぶ車
まずは空飛ぶ車について。さっそくインタビューから引用していきましょう。
私が議論しているのは、空飛ぶ車が存在すべきか、存在しないべきかということで、まだ私はどちらか決めかねています。
もし空飛ぶ車が存在したら、それはつまり、頭上から車が落ちてくる危険性も明らかに存在するということですし、天候にも影響されます。もちろん空飛ぶ車は自動運転でなければいけません。
それに騒音問題もあります。
私は都市の住民にとってより役に立つのはトンネルだと思います。空飛ぶ車については、本質的に、3次元でやっていこうという話ですよね。都市には基本的な欠陥があるのです。都市ではオフィスビルやアパート、2階建て住宅が密集して、それらは3次元構造をとっていまが、いったん道路に降りたら突然2次元構造になってしまう。
もし車についても3次元構造を適用しようと考えるなら、もっとトンネルを増やせばいいのです。そうすれば交通渋滞は完全になくなりますし、空飛ぶ車も必要ありません。天候にも左右されません。
路面が凍結することも、頭上から何かが落ちてくることもありません。
イーロン・マスクが言うように、都市生活を便利にしたいというだけで空飛ぶ車を夢見るのであれば、もっと現実的になったほうが良さそうです。都市にはたくさんの建物があって、少ない土地でも居住や仕事のスペースを3次元的にうまく作りだしています。土地がないなら建物を高くしようという発想で、超高層ビルなんかその最たる例ですね。ところが交通システムとなるとなぜか地表に縛られて2次元的なことしかできていません。都市内の移動手段で3次元構造なのは地下鉄ぐらいですかね。そこで自動車用の地下トンネルを掘ればいいという話になります。空飛ぶ車を実用化するよりはるかに現実的なアイデアです。これがイーロン・マスクが空飛ぶ車よりトンネルのほうが好ましいと言っている理由です。極めて合理的かつ現実的な考えと言えるでしょう。
イーロン・マスクが空飛ぶ車についてどう考えているのか最新の情報が手に入っておもしろいですね。このブログでも空飛ぶ車実現がいかに困難なのかまとめたことがあるので、興味のある方は読んでみてください。
ゲーム
次はゲームについて。イーロン・マスクは12歳のときにBlasterというゲームのコンピューターコードを自分で書いて、それを約5万円で売却しています。その後、Zip2、PayPalとプログラミングを武器に起業して成功を収めますが、きっかけはゲームだったのです。つまりイーロン・マスクとゲームは切っても切れない関係と言えます。ということで、ゲームについてもやっていきましょう。まずはイーロン・マスクが大好きだと明言するゲームのなかで、もっともイーロン・マスクらしいゲームを2つご紹介しときます。
・Kerbal Space Program
本作は,ドジで楽観的な宇宙人“カーバル”たちのさまざまな能力を開花させつつ,宇宙開発局をアップグレードしたり,ロケットエンジンを開発したり,やがては衛星の打ち上げやドッキング,月面着陸,そしてアステロイドの誘導といったミッションをこなしたりするという,わりと本格的なシミュレーションが堪能できる。
KSP Build Fly Dream Trailer - YouTube
史実をモチーフにしたターン制のストラテジーゲーム。基本となるゲームの設計はストラテジーに多く見られる4X(探検・拡張・開発・殲滅)と呼ばれる作りになっているが、"相手プレイヤーを倒す"ことが目的ではなく、本作における勝利とは"文明の頂点"に立つということである。
そのため、自国の科学の発展から宗教や商業、文化の発展といった内政や、他プレイヤーの国、都市国家との外交関係、国際的秩序など様々な戦略を楽しむことができる。もちろん、戦闘によって相手国を滅ぼすことで頂点に立つことも指導者になったプレイヤー次第である。マルチプレイを友達同士ですると友情崩壊すること間違いなし☆彡
Official Sid Meier's Civilization: Beyond Earth ...
いかがでしょうか。どちらも非常におもしろそうなゲームですね。かなり精密に作りこまれたゲームのようで、現実世界の理解にも役立つとのこと。イーロン・マスクがSF映画顔負けのユニークなアイデアを出してくる源泉には、もしかするとゲームの存在があるのかもしれません。
続いて、インタビューのなかでイーロン・マスクがゲームについて言及していた箇所を取りあげていきますね。
10歳のとき父親と一緒にアメリカ旅行に行きました。
すべてのホテルにアーケードゲームがあって素晴らしい経験だったことを覚えています。新しいホテルに行くと、新しいアーケードゲームがあるというのが私の中で一番の出来事でした。
マスク家にはオデッセイという世界初の家庭用ゲーム機があり、イーロンにとってゲームは人生の一部だったそうです。ただ、彼はゲームをプレイするだけでは飽き足りませんでした。
オデッセイには4つゲームがあって、プレイしたいゲームをその中から選ぶわけです。
ある日、店の中にいたときコモドールVIC-20を発見しました。それで、私はこう思いました。「すごい!コンピューターを持って、自分自身でゲームを作れるんだ」
10歳だったイーロンはすべての貯金を費やし(残りは父親にねだって)、コモドールVIC-20を購入しました。スペック的にはぜんぜん大したことないコンピューターでしたが、イーロンには十分だったそうです。
BASICをプログラミングするマニュアルが付いてきました。
私は数日の間ずっと毎晩これに取り組みました。一種の強迫性障害のような感じですね。専門的には強迫性障害ではないのでしょうが、完全にのめり込んでいました。触った瞬間、最高だとわかりました。コマンドを入力すると画面で何かが起こるのです。素晴らしかったですね。
コモドールVIC-20はコモドールジャパンが日本で発売した家庭用パソコンの海外での製品名です。性能はともかく、100万台以上を売り上げる世界初のコンピューターとして有名です。10歳でパソコンにのめり込み、2年後には自分のゲームコードを売却して5万円を稼ぎだし、Zip2、PayPalと階段を駆け上がり、いまやスペースXでロケット、テスラモーターズで電気自動車、ソーラーシティでソーラーパネルを作り世界を変革するイーロン・マスク。彼の偉業のきっかけは強迫性障害にも近い強烈な熱狂と低スペックの家庭用PCだったのです。
今回は短めにこのあたりで。それにしてもKerbal Space ProgramとCivilizationは本当におもしろそうですね。いつか機会があればやってみたいです。