イーロン・マスクのすすめ

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空飛ぶ車の夢を打ち砕く5つの現実

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 先週イーロン・マスクが空飛ぶ車についてツイートしてました。

 

報道とは異なり、私は空飛ぶ車に反対しているわけではありません。ただ、メリットとデメリットを考えることが重要だと言っただけです。 

 


 過去にイーロン・マスクは空飛ぶ車は危険だということをインタビューか何かで明言していたので、ここでその真意を伝えておこうと思ったのでしょう。毎回おもしろい記事ネタを提供してくれるイーロンに感謝しながら今回はさっそく空飛ぶ車についてやりたいと思います。

 

 

 

 空飛ぶ車とは


 まず空飛ぶ車の定義から入りますが、空飛ぶ車は垂直離着陸、飛行、道路走行が可能な乗り物です。現状空飛ぶ車にもっとも近い乗り物がテレフギア・トランジションと呼ばれる空陸両用の軽飛行機です。ちょっと動画を貼っておきますね。

 

 

Flying Car - Terrafugia Transition street-legal ...

 

 

 とても素晴らしいチャレンジです。テレフギア・トランジションの特徴としては以下があげられます。

 


・空港リソースを最大限活かせる
→アメリカには平均して30~50キロ以内に飛行場があります。しかし現在飛行場の利用は巨大ハブ空港に集中していて、それら小規模飛行場が活用されずにいるのが現状です。

 

・自動車から飛行機への乗り換えが不要
→自宅のガレージから出発して、飛行場からそのまま離陸できます。なので、飛行場で自動車の駐車も不要ですし、飛行機の格納庫への出し入れも不要です。そのため様々なコストが削減できる上に、総合的に移動も早く済みます。

 


 ただ、テレフギア・トランジションはあくまでも軽飛行機であり、空飛ぶ車ではありません。なのでテレフギア・トランジションでの離着陸には滑走路が必要です。しかし僕らが空飛ぶ車に要求するのは、自宅からそのまま垂直に離陸して、目的地に到着したら垂直に着陸する能力ですね。なので、まだまだ(垂直離着陸可能な)空飛ぶ車はプロトタイプすらできていないというのが現状です。

 


 では空飛ぶ車を実現するには一体どのような壁を乗り越えなければならないのでしょうか。ここはイーロン・マスクが指摘する空飛ぶ車のデメリットにあたる部分でもあります。これから空飛ぶ車の実現に立ちはだかる5つの現実を見ていきましょう。

 

 

 

 1.安全性

 

 空飛ぶ車でまず心配になるのが安全性ですよね。じつはここが本当に問題でして、当たり前ですが道路を走行する自動車の事故と、空中を飛行する空飛ぶ車の事故とでは被害規模が違いすぎます。空飛ぶ車の場合、バラバラになった部品や引火した燃料をまき散らしながら落下します。たとえ空路が規制されていたとしても、故障や衝突で空路を外れますので、空飛ぶ車がどこに墜落するか予測できません。通行人や住宅やオフィスなどに墜落したら人的被害も大変なことになりますよね。しかも空飛ぶ車の需要が多いのは都市上空。人や物が密集するポイントへ墜落した場合、被害は甚大なものになるでしょう。

 


 空飛ぶ車が墜落する要因として一番考慮すべきなのは故障です。空飛ぶ車の故障は道路走行の自動車の故障とは勝手が違います。道路上でなにか自動車に不調が生じた場合は路肩に停車できますが、空中ではそれができません。つまり故障が発生したときに取れる対処法がものすごく限定されるわけです。しかも致命的な故障が意味するのは墜落の二文字です。

 


 空気抵抗を無視すると300メートル上空から落下する場合、地面までわずか8秒しかありません。8秒の間にパラシュートで脱出するしかないのです。ただ、パラシュートの有効高度は300メートルくらいと言われていますので、実際には瞬間的な判断が迫られます。飛行機の場合は滑空という手段が残されているのでまだ余裕はあるのですが、空飛ぶ車には翼がないため滑空はちょっと無理ですね。致命的な故障を察知した瞬間にパラシュート脱出を実行しないと、待っているのは墜落死です。空飛ぶ車で、第三者にとっても、当事者にとっても信頼できる安全性を確立するのはかなり難しいでしょう。

 

 

 

 2.技術的ハードル

 

 次に空飛ぶ車の実現がどれほど技術的に大変なのかを見ていきましょう。垂直離着陸できる乗り物をVTOL(vertical-takeoff-and-landing-vehicle)と言いますが、VTOLの代表は皆さんご存知のヘリコプターです。ただヘリコプターは飛行速度や飛行距離に難を抱えています。そこで、翼固定の普通の飛行機の飛行速度と飛行距離とヘリコプターの垂直離着陸の能力をあわせもつまったく新しい乗り物を作ろうというプロジェクトがありました。その名もX-plane program。しかし実はこれロケット開発より難しいらしいのです。ヘリコプターは非常に複雑な乗り物として知られていますが、とくに垂直飛行と水平飛行へのトランジションがものすごく複雑になるそうで、いまだにこのプロジェクトは成功していません。

 


 さらに安全性を考慮すると全自動運転能力も必須でしょう。飛行機のほうが自動車より安全だと言われるのは、パイロットがドライバーより訓練をうけていて、ルールも多く、厳しいからです。脇見運転や携帯をいじりながらの運転、飲酒運転などを空飛ぶ車でやったら大変なことになります。そこで、そういうヒューマンエラーを限りなく減らしていくことが求められます。なので、全自動運転が必要ってわけです。しかし、現状では道路走行でも全自動運転は実現できていません。テスラモーターズGoogleなどの企業を先頭にすごい速度で全自動運転実現へ向けてのテクノロジーが進歩していますが、それでもまだまだ技術が足りないのは明白です。

 

 

 

 3.運転免許

 

 仮に全自動運転が実現できたとしても、バックアップとして人間による運転は必要になります。自動制御に不具合が発生した場合や、センサーが効かないような悪天候の場合など、どうしても人間による運転が求められるケースは出てくるのです。そのときにしっかり進路を維持して安全に飛行できるように、ドライバーは厳しい訓練をうけてテストに合格し、免許を取得しなければならないでしょう。道路走行の自動車免許とは別の空飛ぶ車用の免許が必要になるんですね。

 


 言い換えると現状では空飛ぶ車を運転てできるのはパイロットだけということになります。つまり空飛ぶ車を運転したい人はパイロット訓練をうける必要があるということです。しかもドライバーがハンドルを握るのは自動運転が機能しないようなケースです。悪天候で視界が限りなくゼロに近かったり、落雷をうけていたり(実際、雷はよく飛行機に落ちます)する中で、計器だけを頼りに空路から外れないように運転しなければなりません。運転できないからといって路肩に停車なんてできないのです。

 


 そして、空飛ぶ車の実現にともない新しい交通ルールが大量に制定されるでしょう。膨大な交通ルールと高度な飛行スキルを身につけてようやく空飛ぶ車の免許が取得できるわけです。飛行技術をマスターするには数年かかると言われています。空飛ぶ車を運転するにはかなりの覚悟と時間が必要でしょうね。

 

 

 

 4.コスト

 

 VTOLの複雑さと自動運転システムのインストールを考慮すると空飛ぶ車はきわめて高価な乗り物になるでしょう。ちなみにテレフギア・トランジションの価格は3000万円以上です。自動運転カーで自動運転のシステム組み立て導入コストは一台あたり500万円。テレフギア・トランジションが垂直離着陸機能を備えていないことを考えると、VTOLの車体価格はさらに高額になるのは間違いありません。

 


 飛行にはおそらくジェット燃料を使うことになるので、当然ガソリンよりはるかに燃料費がかかります。しかも事故の際の被害規模を考えると自動車保険料もかなり高く設定されるでしょう。さらに、空飛ぶ車は非常にメンテナンスコストがかかります。飛行中に故障したら大変なので車検の期間は短くなり、回数も多くなるでしょう。VTOLの複雑さから部品点数も多いはずなので、交換部品の数も増えますね。当然免許取得にもかなりの費用が発生します。空飛ぶ車は購入から燃料、メンテンナンス、免許取得や保険料まですべてが高額になります。

 

 

 

 5.騒音

 

 空飛ぶ車には飛行機やヘリコプター並の推進力が必要です。すなわち飛行機やヘリコプター並の騒音が出るということです。そして、空飛ぶ車の数は飛行機の数よりも圧倒的に多くなるはずです。上空に何百何千という飛行機が飛んでいる情景を想像してみてください。すごいレベルの騒音になりそうですね。当然、線路や高速道路などのように防音壁も建設できません。都市から離れた場所に発着場をつくることもできますが、それだと空飛ぶ車の良さが活かせませんね。つまり空飛ぶ車は防音対策がきわめて難しい乗り物だということです。

 

 

 

 まとめ

 

 いかがでしょうか。空飛ぶ車は安全性に難があり、技術的にハードルが高く、運転免許取得が困難で、コストがかかり、騒音問題を引き起こすということがわかりました。空飛ぶ車を自動車に代わって普及させるのは相当難しい気がしませんか。

 


 ただ、だからと言って空飛ぶ車の開発をやめるべきだとはなりません。タイトルは過激につけてしまいましたが、上記の5つの現実はあくまでも乗り越えるべき課題として受け止めていただけると助かります。イーロン・マスクが言うように、空飛ぶ車にはメリットもあればデメリットもあります。今回はデメリットに注目して記事を書きましたが、本当にテクノロジーが進歩すればこれらのデメリットはなくせるはずです。その日がくるのを楽しみに待ちましょう。

 

 


 ではまた。

 

 

 

参考元

http://auto.howstuffworks.com/5-reasons-you-dont-want-flying-car.htm#page=1

Anna Mracek Dietrich: A plane you can drive | Talk Video | TED.com

5 Disappointing Reasons Why We Don't Have Flying Cars [Science] ~ The Geek Twins

http://www.bbc.com/future/story/20130228-x-plane-plans-for-radical-takeoff

https://www.carwow.co.uk/blog/Five-reasons-were-not-yet-zooming-about-in-flying-cars

全自動運転のメリットと克服すべき7つの課題 - イーロン・マスクのすすめ