イーロン・マスクのすすめ

最高の男、イーロン・マスクについてのブログ

全自動運転のメリットと克服すべき7つの課題

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 こないだのテスラモーターズの発表で、モデルSの新しいソフトウェアの内容が明らかにされました。イーロン・マスクが一週間くらい前から「航続距離の不安を終わらせる」とツイートして世間の期待感を高めていたので、注目が集まる発表となりました。てっきりバッテリー周りの改善があるのかなと思っていましたが、まさかのソフトウェアアップデート。内容は簡単に言うと以下の2点でした。

 

 

・風速や勾配を計算しながら正確なバッテリー残量の通知

 

スーパーチャージャーやほかのモデルSのネットワークとつながり、最適なルートと最寄りのスーパーチャージャーへのナビゲーション

 

スーパーチャージャーとはテスラモーターズの自動車のオーナーが無料で利用できる世界最速の充電器です

 

 

 これらの情報をスマートフォンでも確認できるようにすることで、イーロン・マスクは意図的にやらない限りバッテリー切れはあり得ないと言い放ちます。こういう風にソフトウェアのアップデートで自動車の性能が向上するなんてすごいですよね。テスラモーターズは自社を自動車メーカーであるとともにシリコンバレーのソフトウェア会社と捉えているそうなのでやることが斬新です。イーロン・マスクもここらへんについてこういうコメントを残しています。

 

 

(他の車と違って)モデルSは時間とともに、より速く、より賢く、より高性能になっていきます。寝ている間に性能が向上し、朝起きたら別の車のようになっているのです。

 

"But the Model S does get faster, smarter, and better as time passes. The car gets better as you sleep. When you wake up, it's like driving a new car."

 

Elon Musk says that updates to Tesla software will make it 'impossible to run out of range' - Business Insider

 

 

 とまぁ、まさに自動車のコンピューター化です。そして、この自動車のコンピューター化が向かう先は自動車が自ら運転できるようになる自動運転機能です。イーロン・マスクも今回の会見で、3か月以内に自動運転に関するソフトウェアのアップデートをおこなうと発表していましたし、テスラモーターズに限らず他の自動車メーカーも今年の夏までには自動運転を導入すると言っています。まだ限定的な条件下での自動運転ではありますが、世界中の自動車メーカーが全自動運転へ向けて動き出しているわけです。

 

 

 そこで、こないだ全自動運転によって人間の運転が違法になるかもしれないというブログを書いたのもあり、気になったので全自動運転について調べてみました。調べた内容をまとめましたので、これを今回の記事とさせていただきます。ちなみにテスラモーターズの全自動運転のイメージとしては飛行機のオートパイロット機能のようなものだそうです。わかりやすいですね。

 

 

 

全自動運転のメリット

 

 事故の減少

 

 前置きが長くなってしまいましたが、さっそく全自動運転のメリットからいきたいと思います。全自動運転のもっとも大きなメリットとして安全性の向上、つまり事故の減少があげられます。NHTSAという機関によれば、アメリカの2011年の交通事故件数は530万件で、3万2367人が交通事故によって死亡しているそうです(日本の平成25年の事故死亡者数は4373人)。そのうち実に93%がヒューマンエラーとのことです。つまり自動運転の導入により人間の意思決定や不注意が自動車の運転に介入する余地をなくすことができるので、それだけ事故件数が減るということですね。実際、自動車の安全性能の向上によって、1995年から2011年までに45%もの事故率の減少がみられたそうです。

 

 

 これは全自動運転の性能の話になりますが、自動車に搭載された高機能センサーは、制御している自動車の動き、他の自動車の動き、通行者、潜在的な障害物を検知して、迅速に安全で適切な行動へ移ることができますが、これら検知能力、対応能力は平均的な人間を大きく上回ります。じつは限定された条件の下ではありますが、すでに全自動運転のテストは実施されていて、これまでのところ事故は一件も報告されていません。ちょっと考えてみてほしいのですが、もし道路上のすべての自動車がしっかり信号を守り、一時停止し、法定速度で走っていたらどれほど事故が減るのでしょう。全自動運転化が実現できればそういう社会になるのです。

 

 

 その他のメリット

 

 次に大きいのが交通渋滞の解消でしょう。AAAという機関がアメリカの交通渋滞によって被る経済的被害を算出したところ、その被害額は一年間で1000億円にものぼったそうです。ここが削減できるのはいいですよね。全自動運転を支えることになるのはマスターコントロールシステムですが、マスターコントロールシステムとは道路上のすべての全自動運転自動車の情報や道路状況、信号の情報などを一手に司るシステムです。マスターコントロールシステムによって全自動運転が最適化され、交通渋滞の回避や燃料(エネルギー)のもっとも効率的な運用に至ります。さらに渋滞によるドライバーの毎日のストレス、交通違反の減少にもつながりまし、渋滞しないわけですからそれだけ目的地にも早く着きます。まさに交通機関としての自動車の極致と言えるでしょう。

 

 

 さらに、全自動運転で自分の自動車が送迎してくれるようになるので街中の駐車場の数が減らせますし(自分の家の駐車場だけあればよくなります)、事故の可能性が低くなれば自動車の重量も減らせます。現在の自動車は事故に備えてある程度の耐久力を確保する必要があります。そのために装甲を固くし重量が重くなっています。しかし全自動運転化で事故件数が減少すれば、耐久力の基準も下がり、自動車の重量を軽くできます。これによって道路の摩耗も防げますし、自動車製造のコストダウンにつながります。そしてもし無人の自動運転カーが普及したら物流コストとタクシー料金は劇的に下がるはずです。これも楽しみですね。

 

 

 他にもいろいろなメリットはありそうですが、僕が調べた限りではこんな感じですね。いやぁ、早く全自動運転化してほしいものです。しかし全自動運転の実現にはいくつか乗り越えるべき課題があるのがわかりました。見ていきましょう。

 

 

 

全自動運転の7つの課題

 

 1.法規制の整備

 

 全自動運転の導入により交通事故件数自体は減らすことができますが、それでも事故の可能性はゼロにはなりません。そして、もし全自動運転で事故が発生した場合、いったい誰が責任を負うのかが最大の問題になるそうです。ドライバーは運転していないわけなので、事故の責任をドライバーに負わせていいのか、自動車メーカーが負うべきなのかってことです。たとえばドライバーがすでに降りて全自動運転でパーキングしようとしたときに車が人にあたってしまったらどうなるのか。難しい問題ですね。裁判がたくさん起こるはずなので、判例を通して基準が定まっていくというのが専門家の見方のようですが、どういった場合に誰に責任があるのかしっかり決めていかないといけないですよね。それに全自動運転中はどの程度ドライバーは運転から解放されるのか(左右確認を怠っていいのか、わき見をしていいのか、シートベルトをしなくていいのか、ゲームをしていていいのか)も今の交通法規を変えないと、せっかくの全自動運転のメリットが活かせません。法規制の整備は大きな課題でしょう。

 

 

 2.訴訟リスクの引き受け

 

 自動車のハイテク化によって運転に対するドライバーの関与が減れば、それはつまり運転に対する自動車(自動車メーカー)の関与が増えるということです。ってことは事故の際の訴訟リスクも高くなるということを意味していますね。たとえば2009年のトヨタのリコール事件なんかが良い例です。過去のアクセルペダルは自動車のスピードをコントロールする燃料噴射スロットルとダイレクトにつながっていました。つまりドライバーが完全にコントロールしていたわけです。しかしテクノロジーが進化するにつれ、マニュアルのスロットルは電子制御に切り替わっていきました。トヨタのリコール事件ではここらへんが問題となったそうです。当初ペダルがフロアマットに引っ掛かる問題として報告されましたが、その後スロットルの電子制御不具合の問題へと発展していったのです。電子制御に不具合がなかったことが確認された後も、トヨタは個人訴訟、集団訴訟において多くの訴訟和解金を支払うことになりました(138件の集団訴訟、事故の遺族など96件の民事訴訟。さらに数十億円の制裁金もあり)。リコールも大量にでました。

 

 

 このトヨタの事例を鑑みると、コンピューター制御の不具合や設計ミスによって発生する(訴訟リスクを含めた)コストは甚大なものになるでしょう。これは自動車のハイテク化(電子制御を取りいれた)が自動車メーカーへの訴訟に至ってしまった一例ですが、全自動運転では発進加速の制御どころではない複雑な制御がおこなわれるので、全自動運転での事故が起きたらどうなるのか。自動車メーカーは全自動運転化を進めるうえでこういうリスクを負う必要があるわけです。

 

 

 3.テクノロジーの発展

 

 全自動運転を実現するためには様々な障害物や動作を検知する各種センサーの発達、GPSの発達、コンピューター操作テクノロジーの発達が必要と考えられています。テスラモーターズがやろうとしている自動運転は現在のところ高速道路に限定されています。その理由は一般道では予測するのが難しい多くの障害があるため技術的にまだ導入できる段階にないからだそうです。イーロン・マスクによれば一般道での全自動運転がもっとも難しく、もう少しテクノロジーの発展を待たないといけないそうです。また、田舎での全自動運転も相当難しそうですね。道路の整備が行き届いてないため雨や雪などによって道路状況が一変しますし、動物が飛び出してきたり、死んでいたり、山中では岩や木の枝が落っこちていたりします。そこらへん対応できるようになるためには更なるセンサーの発達が必要です。

 

 

 あとは全自動運転での事故だと根本原因は何かってことが問題になりますので、ここを追求する技術が必要になります。根本原因は事故を起こした自動車か、マスターコントロールシステムか、インフラか、ドライバーか。ただ、じつはこれを解決するテクノロジーはすでに存在しているんですね。これってようはすべての情報を記録しておけばいいわけです。そうすれば記録された情報を解析して根本原因が追究できます。そしてこれはつまり飛行機のブラックボックスのことです。なのでここに関してはすでに技術的には解決済みと考えていいのではないでしょうか。

 

 

 4.コストダウン

 

 現在、自動運転のメジャーな問題とされているのが研究開発のパフォーマンスとインストールコストです。グーグルの全自動運転のテストでは、システム組み立て導入のコストは(1台あたり)1千万から1千5百万もかかったそうです。最近では500万円ほどまで下がっていますが、コストがかかるのは確かですね。ただ、10年以内には100万円ほどまでコストダウンすることは可能だろうとのことです。しっかりマスプロダクションにつなげることができればどんどんコストは下がるでしょうね。

 

 

 5.インフラ整備

 

 全自動運転用のインフラ整備には相当お金がかかりますので、基本的な道路整備が必要とされている中そこに予算を割けるのかという疑問が残りますね。とくに全自動運転化のメリットを最大限生かすマスターコントロールシステムの導入は難易度が高そうです。マスターコントロールシステムですべての自動車を管理しながら全自動運転を最適化するわけですが、これを実現するには実質すべての自動車が全自動運転になる必要があります。そうなるとマスターコントロールシステムが管理している区域(都会など)では全自動運転以外の自動車は入れないことになります。こういう状態をつくるのにはかなり抵抗がありそうです。

 

 

 6.プロモーション

 

 全自動運転が普及するには当然たくさんの人に購入してもらう必要がありますが、Kelley Blue Bookがおこなった2012年の消費者調査によると、63%の人が全自動運転の自動車は購入しないだろうと回答したそうです。やっぱり自動車は自分で運転したいと考える人が多いのでしょうね。ただ、将来的には消費者動向の変化はありそうです。今までの自動車の進化というのは人間の意志をどれだけ忠実に運転性能へ転化できるかという点に重きが置かれていました。ドライバーがスピードを出したいと思えばすぐに加速して、止まりたいと思えばしっかりブレーキがかかるといった感じですね。しかし、今後は自動車が人間の意志を代行するという方向で進化していくでしょう。ドライバーは何も考えずに乗っているだけ(他のことをやっていても構いません)。自動車がドライバーの代わりにスピードをあげたりブレーキをかけたりといった判断をおこない実行します。まさに意思の代行。将来的にはそっちの性能の需要が高まっていくとみられています。運転性能への需要より、運転しないで済む性能への需要といったシフトですかね。なので自然と克服できそうな課題ではあります。

 

 

 7.ドライバー不要化

 

 非常事態(センサーが効かないほど著しく悪化した道路状態など)が発生したときのバックアップとして、ドライバーによる運転に切り替えることは必要になります。ってことはドライバーが自動車保険に加入しておく必要もあります。多くの全自動運転推進者が理解していないこと(らしい)ですが、全自動運転化が実現できたとしてもバックアップとしてドライバーは必要になるそうです。つまり、自動運転中に睡眠をとったり、非常事態に対応できないほど他の何かに熱中したりはできませんよってことです。ただ、ここらへんもうまく回避できそうな気がしますけどね。たとえば緊急事態が発生したときは自動で停車し、それを察知したマスターコントロールシステムが修理の車を寄越すなどの対応をすれば、その間ドライバーはずっと寝ててもいいわけです。当然、マスターコントロールシステムによって周囲の自動車も柔軟に対応してくれるはずです。そうなればバックアップとしてのドライバーの必要性って(修理対応などは除き)ほとんどない気がしますけどね。どうでしょうか。

 

 

 

 さてさて、全自動運転のメリットと7つの課題についてまとめてみましたがいかがでしたか。どれも全自動運転化へ向けて克服しなければならない課題ですが、全自動運転化のメリットが半端じゃなく大きいので、イーロン・マスクのような経営者が果敢にチャレンジを繰り返して全自動運転化を実現してほしいものですね。最後に参照元のリンクを貼っておきますので、気になる方はどうぞ。

 

 

 

http://www.aon.com/attachments/risk-services/Automotive-Practice-Autonomous-Vehicles.pdf 

 

http://theenergycollective.com/jemillerep/464721/self-driving-car-technology-s-benefits-potential-risks-and-solutions 

 

http://www.businessinsider.com/here-comes-elon-musks-announcement-about-ending-tesla-range-anxiety-2015-3

Elon Musk reveals software to banish 'range anxiety' | Daily Mail Online

Tesla Event Livestream: Will Elon Musk End EV Range Anxiety? | DC Inno

www.ft.com

 

http://www.thestreet.com/story/13084414/1/heres-how-tesla-elon-musk-want-to-end-range-anxiety-live-blog.html

Elon Musk says “range anxiety” is a mental problem – Quartz

 

 

 

 ではまた。