読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

イーロン・マスクのすすめ

最高の男、イーロン・マスクについてのブログ

イーロン・マスクの学習方法とその実践 〜ロケットエンジンのすすめ〜

f:id:Elongeek:20150610022759j:plain

 今回は先日イーロン・マスクがリツイートした記事をご紹介したいと思います。こちらですね。

 この記事はいぜんAIについてエントリーを書いたときに参考にしたWAIT BUT WHYというブログのものです。じつは、個人的にとても待ち望んでいた記事でした。というのも、WAIT BUT WHYで記事を執筆しているティム・アーバンに、イーロン・マスクのスタッフから電話がかかってきて、ぜひイーロン・マスクが携わっている分野について記事を書いてほしいとの要望があったそうなのです。

 ティムはイーロン・マスクと電話で話し、彼に誘われてテスラモーターズの見学をして、最後はイーロン・マスクと食事をしながら様々なトピックについて会話を交わしました。そのあたりの経緯はWAIT BUT WHYの「Elon Musk: The World’s Raddest Man」という記事に書いてあります。ティムの驚きや興奮の様子が見れて楽しいのでぜひ読んでみてください。(ちなみにティムはイーロン・マスクから一切お金などは受け取ってません。たとえイーロン・マスクに嫌われることになろうとも正直な記事を書くことが彼の哲学だそうです。)

 今回ご紹介するのは「Elon Musk: The World’s Raddest Man」の次の記事である「How Tesla Will Change The World」という記事です。イーロン・マスクが関わる領域のうち、テスラモーターズ周辺のお話ですね。非常に長い記事で、とても1回ですべてを紹介するのは無理です。なので、今回は記事の前半部分でとくに印象深かった箇所をご紹介するだけになってしまいます。それでも結果的にずいぶんな長文になってしまいました。

 

イーロン・マスクとティム・アーバンの共通する学習方法

 WAIT BUT WHYで扱われるトピックは多岐にわたります。そして、そのどれもがわかりやすくておもしろい。秘密はティムの学習方法にありました。

 ティムは対象となるトピックについてしっかり調べてから記事を執筆します。執筆の前に学習があるわけですが、これはアウトプットをしている人たちは誰もがやることだと思います。しかし、ティムの学習方法は非常に興味深い。彼は最初にトピックの表面から学習をスタートするそうです。対象のトピックに関する様々な記事や本を読み、トピックの表面をなぞりながら、自分が理解できない箇所をあぶり出していきます。次に、浮き彫りになってきた(自分にとって)曖昧な箇所を掘り下げる。すると、また別な曖昧な箇所が出てきます。曖昧な箇所がなくなるまでこの作業を繰り返すと、最終的に対象トピックの底に行きつきます。

 例えば、彼はいぜん現在のイラク状況について記事を書きました。そのときもたくさん曖昧な箇所があったそうです。それらを根気よく取り除いていって行きついた底は、なんと紀元570年のムハンマドだったとのこと。とても大変なことですが、この作業をやらないとおもしろい記事は書けないのです。なぜなら、自分自身が対象トピックについての新しい知識をおもしろいと感じることができないからです。ティムはこう言います。

もし何かを完璧に理解できないんだとしたら、君の頭のなかの(知識の)「木」には「幹」がないってことなんだ。トピックについての新しい知識は新しい「枝」や「葉」のこと。そいつらは「幹」がなかったら何にもぶら下がることができずに落っこちていくだけだよ。曖昧な箇所をクリアにしていくことで、僕は頭のなかの木に「幹」を作る。そうすれば、新しい情報はしっかりつかまることができる。そして、トピックの学習はもっとおもしろく、生産的になるんだ。

 知識の「幹」ができた状態で学習を進めると、出くわす情報のすべてに興味を惹かれます。おもしろい記事を提供するには、まず自分が対象トピックに関する知識をおもしろいと思えないといけません。そのためには、対象トピックにたいする知識の「幹」を作ることが大事になるわけですね。そして、知識の「幹」を作る方法は、根気強く曖昧な箇所を掘り下げて、対象トピックの底に到達することです。

 ところで、この学習方法をどこかで聞いたことがないでしょうか。じつは、この方法、イーロン・マスクの学習方法とまったく同じです。

  イーロン・マスクが最初に作った会社はZIP2というソフトウェアの会社でした。プログラミングの知識は子どものときから身につけていましたが、実際に起業するとなるとよりディープな知識が必要でしょう。そして、次はPayPal(X.com)です。電子メールを使った決済サービスですね。もちろんプログラミングの知識も必要ですが、同時に決済の仕組みに関する知識が必須です。その後、イーロン・マスクはスペースXでロケット、テスラモーターズ電気自動車(とバッテリー)そしてソーラーシティで太陽光パネルと次々に新しい分野へ進出していきました。その都度、新しい知識が必要になります。ロケットや電気自動車の開発には圧倒的な情報量の吸収が求められます。太陽光発電と蓄電についても同様です。イーロン・マスクはこのような膨大な知識をどのように吸収していったのでしょうか。

 イーロン・マスクがいぜんRedditという掲示板に登場したときに投げかけられた質問の1つがこれでした。イーロン・マスクはどうやって常人には不可能とも思える量の知識を身につけたのか。そのときの彼の回答がセマンティック・ツリー・メソッドの有効性だったのです。セマンティック・ツリー・メソッドとは、知識(公式)の集合を1本の木のように見立て、基本的な知識(公式)となる「幹」に、「枝葉」となる知識(公式)を付け加えていくという方法です。まさにティムの学習方法と同じです。

 

今回のエントリーの目的

 新しい情報をおもしろいと感じるには、新しい情報が引っかかる知識の「幹」が必要です。この学習方法の効果は体験してみないと実感がわかないのではないでしょうか。そこで、実際に知識の「幹」を作ってみようというのが今回のエントリーの目的です。何の知識についてやるかですが、前回のエントリーで扱ったロケットエンジンにしましょう。前回はテーマがテーマなだけに、内容がちょっと専門的というか興味のある人向けになってしまったと思います。なので、知識の「幹」を作る効果を見るにはちょうどいいトピックですし、これがうまい具合に「How Tesla Will Change The World」の紹介にもなるのです。

 「How Tesla Will Change The World」はタイトルの通り、テスラモーターズについての記事です。エネルギーと自動車。なので、記事の前半部分でエネルギーについての知識の「幹」が作れる構成となっています。そして、エネルギーの知識の「幹」は、ロケットエンジンの知識の「幹」ともつながっています。ということで、ティムの記事を参考にロケットエンジンの知識の「幹」を作ってみましょう。

 ちなみに、僕の前回のエントリーではロケットエンジンがいかに大きな推力と安定性を得ているのかを流体力学の見地からご説明しました。もちろん専門家の説明には遠く及ばない表面的な内容だったと思いますが、それでも多くの方々がおもしろくないと感じたことでしょう。ロケットエンジン、推力、安定性、流体力学などの単語が並ぶ時点で顔をしかめる方もいらっしゃるはず。そのような方々がどれだけロケットエンジンについて興味を持っていただけるか、今回のエントリーで試されるところです。

 

ジュールをめぐる戦い

 ティムはエネルギーの知識の「幹」を作るためにこれからお話することを書いてますが、ちゃんとロケットエンジンの知識の「幹」につながるので安心してくださいね。では、さっそく本題に入りましょう。

 ティムいわく、エネルギーとは簡単に言うと「何かに何かをさせるもの」だそうです。たとえば、身体を動かすのもエネルギーですし、風を吹かせるのもエネルギーです。そして、エネルギーの肝心なところは「エネルギー保存の法則」の存在です。エネルギーは新しく創りだされることも破壊されてることもないという法則ですね。つまり、エネルギーは別なところから別なところへ移動するだけで、総量としては変わらないというわけです。

 「何かに何かをさせるもの」がエネルギーですので、すべての生物は生きていくためにエネルギーが必要です。しかし、残念ながら「エネルギー保存の法則」により、自分でエネルギーを生み出すことはできない。そこで、生きていくために他者からエネルギーを奪うことになります。ほとんどすべての地球上の生物が得るエネルギーは太陽に端を発します。太陽のエネルギーによって風が起こり、雨が降る。生態系は太陽によって維持されています。

 ジュールという言葉をご存知でしょうか。ジュールとはエネルギーなどの単位のことです。1ジュールが(地球上で)約100グラムの物体を1メートル持ち上げるときの仕事量くらい。太陽のジュールによって生物に熱と光が与えられるわけですが、太陽のジュールを他の生物以上にうまく活用しているのが植物です。植物は太陽のジュールを利用して有機物を作り出すことができるのです。光合成ですね。このようにして生態系内に「食べ物」が誕生します。そしてこれは、生物が繰り広げるジュール争奪戦のはじまりを意味します。

 「食べる」とは他人のジュールを奪うことです。植物が蓄える太陽のジュールは、捕食者によって強奪され、その捕食者のジュールも別な捕食者によって強奪される。捕食の繰り返しは長い鎖のように連なり、「食物連鎖」と呼ばれます。現在、食物連鎖の頂点に君臨しているのが「人間」。人間はまさに傍若無人です。他の生物からジュールを好きなときに好きなだけ奪うことができるのです。

 それでも、人間が食物連鎖の頂点に立ってからしばらくの間は静かなものでした。しかし、数十万年ほど前、人類はあることに気づきはじめました。それは、奪ったジュールを体内に取り込んで自ら活動するよりも、ジュールを体外に留めたまま自分たちのために使った方が良いということです。人類は馬や牛を利用して移動したり畑を耕したりするようになりました。人類は他の生物のジュールをその生物に留めたまま利用する術を獲得したのです。

 ところで、ジュールは生物だけが持っているわけではありません。私たちの周りを「風」や「水」として通り過ぎているジュールもあります。貪欲にも人類はそれらのジュールも利用したいと思いました。この願望がテクノロジーを誕生させます。食べ物を轢いたりする風車の発明は「風」のジュールを機械的なエネルギーに変えて利用することですし、海を移動する帆船の発明は「風」のジュールを運動エネルギーに変えて利用することです。さらに、「水」は太陽のジュールによって蒸発して雨になります。人類は水車やダムを発明することで、雨となり、川となった「水」のジュールも利用するようになりました。

 このように、人類はジュールを利用するためにテクノロジーを発展させました。そのなかでもっとも強力なものは「火」のジュールを利用するテクノロジーです。「風」や「水」では、通り過ぎていくジュールを捕まえて利用するだけです。しかし、何かを燃やすという行為は、その何かが長年蓄えてきたジュールを一気に解放させること。ジュールの爆発と言い換えても良いでしょう。このジュールの爆発を「火」と呼ぶのです。

 

「火」のジュールの利用

 人類は「風」や「水」のジュールを利用できるようになりましたが、長い間もっともジュールヘビーな力である「火」をコントロールすることができませんでした。「火」の近くに寄って身体を温めたり、料理をしたりすること以外に活用方法が見当たらなかったのです。

 人類が「火」のジュールを利用する術を見つけたのは18世紀半ばになってから。わずか250年ほど前のことです。人類(新人類)の誕生は20万年前くらいだと考えられていますので、人類史的には本当に最近の話ですね。

 人類が辿りついた「火」のジュールを使いこなす方法。それは「水蒸気」でした。

 「火」のジュールを「水」に持ち込むと、「水」は沸騰します。「水」を入れたやかんを沸騰させると、やかんの口からすごい勢いで「水蒸気」が飛び出してきますね。この「水蒸気」の力を利用するわけです。つまり、使い方がわからなかった「火」の熱エネルギーを強力な「水蒸気」に転換することで、ようやく人類は「火」のジュールを利用できるようになったのです。

 18世紀半ば、「水蒸気」の力を使った発明が次々に誕生しました。偉大なるブレークスルーは、次なるブレークスルーを生み出します。人類は歴史的に大きな転換期を迎えていました。このブレークスルーを産業革命と呼びます。

 産業革命におけるもっとも偉大な発明はスチームエンジンです。「水蒸気」をシリンダーに送り、ピストンを動かし、車輪を回すという一連の仕組みですね。スチームエンジンによって、帆船は蒸気船へ、牛車や馬車は機関車へと代わりました。人類は新しい能力を手に入れた。たくさんの物や人を、より遠くへ運ぶ能力です。スチームエンジンの発明によって産業革命は本格的に全世界へひろがり、文明は加速していきます。

 産業革命は「水蒸気」によって成し遂げられたというのは適切ではないでしょう。「水蒸気」はただの媒体です。人類は数十万年もの間、「火」のジュールを使いこなせなかった。18世紀半ばになって、ようやく「火」のジュールを使いこなせるようになった結果、産業革命が引き起こされたのです。産業革命は「火」によって成し遂げられたというべきですね。

 

生命の力を燃料に

 「火」のジュールをようやく使いこなせるようになった人類。そうなると今度は燃やすものが必要になりました。燃料ですね。産業革命までは木材を燃やしていればよかったのですが、産業革命以降はそうはいかない。人類はもっと効率よく燃やせる燃料を求めはじめました。産業革命はイギリスでスタートしましたが、当時、イギリス人が目をつけたのは地下に埋まっていた燃える黒い石、「石炭」でした。「石炭」は地下にあるので、人類は産業革命のペースに合わせて地面を掘りはじめることになります。新たな発見もありました。地面を掘ってみると「石炭」以外にも、燃える液体「石油」や燃える気体「天然ガス」が埋まっていることがわかったのです。これらは化石燃料と呼ばれます。

 化石燃料とは太古の生物の残骸です。ものすごく昔に生きていた生物たちの化石です。もっとも古い化石燃料先カンブリア時代の生物の化石まで遡れます。まだ陸に動物も植物もいなかった時代。この時代になってようやく誕生した原始的な生命である海藻が化石になったものが初期の化石燃料ということです。約25億年ほど前の話です。ちなみに化石燃料で一番多いのが石炭紀(約3億年前)に生きていた植物、動物、藻の化石です。

 彼らは数億年、数十億年を経て、強烈な熱と圧力の下でジュールがぎっしり詰まった固体、液体、気体へと変化しました。「石炭」、「石油」、「天然ガス」です。人類は「石炭」、「石油」そして「天然ガス」を燃やしてより効果的に「火」のジュールを利用するようになりました。つまり、地球の生物史レベルの長大なスパンで蓄えてきたジュールを、一気に解放させているということ。圧倒的なジュールの爆発です。文明の発展とはジュール利用テクノロジーの発展とも言えます。そして、人類は化石燃料を使った「火」のジュールを利用するテクノロジーを生み出し、現代へとつながっていきます。ここまでが、エネルギーつまりジュールの「幹」となる知識です。

 

ロケットエンジン

 ティムの記事を参考にエネルギーについてお話してきましたが、皆さんの頭のなかにエネルギーの知識の「幹」はできたでしょうか。簡単におさらいしてみましょう。地球上のすべての生物はジュールを奪いあいながら生態系を形作っています。そのなかで絶対的とも言える存在になったのが人間。人間は周りのジュールを利用するためにテクノロジーを発展させました。動物たちのジュールはもちろんのこと、「風」や「水」など放っておけば通り過ぎていくジュールを捕らえることも可能になりました。そして、とても長い長い悪戦苦闘の末、ついに人類は「火」のジュールを利用するテクノロジーを誕生させます。「水蒸気」を利用する蒸気機関です。熱エネルギーを運動エネルギーに転換することで人類は「火」を手なずけました。これによって産業革命が到来し、以降、様々な発明が生まれます。そして、産業革命を本格的に普及させていったのはスチームエンジンの発明でした。多くの物や人をより遠くへ運ぶ能力。新しく獲得した能力によって産業革命の波は世界中にひろがっていきました。化石燃料を燃やして圧倒的なジュールの爆発を呼び起こす。現在でも「火」のジュールを利用するテクノロジーは、基本的には化石燃料の燃焼をベースとしています。人類はエネルギー(ジュール)を利用するためにテクノロジーを発展させ、それが文明の進歩へつながってきたということです。いかがでしょう。知識の「幹」ができていたら嬉しいです。

 さて、このエネルギーの「幹」となる知識がどのようにロケットエンジンにつながるのか。ここが今回のエントリーの肝です。重要な点は以下の2つ。

・「火」のジュールによって成し遂げられた産業革命の中心的な役割を担った発明はスチームエンジン

・「火」のジュールを利用するテクノロジーの原理は、「火」のジュールを気体を介して運動エネルギーへ転換すること

 まずはスチームエンジンからいきましょう。じつは、スチームエンジンの仕組みは基本的に現在まで受け継がれています。化石燃料を使うようになって、(発電以外では)化石燃料の燃焼によって発生するガスを利用していますが、「火」のジュールを「水蒸気」や燃焼ガスなどの気体に変えて運動エネルギーを生み出す仕組みという点では変わりありません。自動車のガソリンエンジンも、飛行機のジェットエンジンも、そしてロケットエンジンもそうです。自動車や飛行機が文明の進歩に与えた影響は計り知れませんね。文明の根幹にはエンジンの存在がありました。当然、未来の文明の根幹にもエンジンの存在があるはずです。それはきっとロケットエンジンでしょう。なぜなら、産業革命の歴史を振り返ってもわかるように、活動領域のひろがりは文明の進歩を促すからです。ロケットエンジンによって開拓される領域は広大な宇宙。飛躍的な文明の進歩も期待できますね。

 次に、気体を介した「火」のジュールの運動エネルギーへの転換を見てみましょう。先ほど述べたとおり、産業革命の根幹にはスチームエンジンがありました。その理由は、スチームエンジンによって多くの物や人がより遠くへ移動できるようになったからです。そして、ロケットの目的も多くの物や人をより遠く宇宙へと移動させることです。

 物や人が移動するには運動エネルギーが必要です。ロケットにおいてこの運動エネルギーを推力と言います。ロケットが推進する力ですね。ロケットで移動する物や人をペイロード(貨物)と言います。

 多くの物や人を宇宙へ運ぶためにはロケットの推力と安定性が求められます。ペイロード(貨物)を強い力で持ち上げないといけませんし、ロケットがぐらついていたらそもそもペイロードが積めません。推力と安定性が求められるとはこういうことです。

 ロケットエンジンもスチームエンジンと同じで、「火」のジュールを気体を介して運動エネルギーに変換する仕組みです。スペースXのロケットエンジンではケロシンという化石燃料を燃焼させることで「火」のジュール取り出します。そして、発生させた気体(燃焼ガス)を噴出することで、「火」のジュールを推力つまり運動エネルギーへ転換する。燃焼ガスの速度を上げたり、燃焼ガスや液体燃料の動きを制御することがロケットの推力や安定性の確保につながります。

 ロケットエンジンに限りませんが、多くの物や人をより遠くへ運ぶテクノロジーであるエンジンでは、「火」のジュールをうまく利用するために液体や気体のコントロールが必要となります。流体とは液体や気体などのことで、流体の動きを研究する学問が流体力学です。なので、エンジンの開発には流体力学的見地がきわめて重要なのは当然ですね。産業革命を担ったスチームエンジンの仕組みはより洗練された姿で現在に受け継がれています。

 

まとめ

 ティムの書いた記事をもとにご説明してきたエネルギーの知識の「幹」。それをロケットエンジンの知識の「幹」へ応用したのが今回のエントリーです。そして、その目的はロケットエンジンに興味がない方々に興味を持っていただくこと。それによって、ティムやイーロン・マスクの学習方法の有用性を実証しようという試みでした。ちなみに、ティムの記事ではこのあと人類がなぜ化石燃料から脱却しなければならないのか、イノベーションの発生の裏にある法則などについて書かれています。興味深いデータと知見と洞察が見られる記事で本当に素晴らしいです。

 長々とお話してきましたが、1つだけはっきりしていることがあります。それは、ロケットエンジンはロマンの塊だということ。原始的な藻類が先カンブリア時代に誕生して以来、生命はどんどん複雑な構造を持つようになり、ついには高度な知能を持つ人類にまで至りました。(現在の)生命の到達点である人類はテクノロジーを発展させ、「火」のジュールを利用できるレベルになり、さらに進んだテクノロジーはロケットエンジンを生み出した。

 地球に育まれてきた生命は数十億年もの時を経て、はじめて地球を離れることができるようになりました。壮大過ぎる親離れのはじまりと言ってもいいでしょう。それを可能にするのはロケットエンジンロケットエンジンは何十億年という地球の生命史の切っ先に位置しています。しかも、利用する燃料は生命のジュールの蓄積である化石燃料(ロケットの燃料として液体水素なども使われますが、それは置いときましょう)。生命の進化によって誕生したテクノロジーは、過去の生命のエネルギーを消費することで、母体である地球を離れることができるほどの発展を遂げました。ロケットエンジンにはこのような生命史的ロマンが詰まっているのです。

 では、最後にもう一度、冒頭にお話した前回のエントリーの内容を繰り返させていただきます。

 前回のエントリーではロケットエンジンがいかに大きな推力と安定性を得ているのかを流体力学の見地からご説明しました。

 どうでしょうか。知識の「幹」ができて、ほんの少しでもロケットエンジンについて興味を惹かれたのであれば今回の目的は達成とさせてください。誘導しているみたいで気が引けますが、前回のエントリーのリンクを貼っておきますので、お時間のあるときにでも。

 

elongeek.hatenablog.com