イーロン・マスクのすすめ

最高の男、イーロン・マスクについてのブログ

北極がやばい

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訳)BadAstronomerによる素晴らしい記事。最高温度に注意すべき。平均温度を気にしすぎ。最高温度がもっとも重要なのだ。

地球温暖化の阻止はイーロン・マスクのミッションの1つ。彼がテスラを経営し、ソーラーシティに関わっている理由です。本日発表されたテスラのモデル3もそのために開発されました。そんなイーロン・マスクが絶賛した記事。内容をまとめてみました。
 
北極がどんどん小さくなっている
北極の面積が縮小しています。北極の氷は夏に溶けて、冬に育ち、氷の面積が最大化するのは3月。今年2016年は3月24日で、海氷域面積は1452万平方キロメートルでした。これは観測史上もっとも小さい数字です。
 
北極はどんどん暑くなっている
北極は異常な温暖化を経験しています。12月、1月、2月の気温は異常に高かった。平年より11℃も高かったのです。北極の温暖化によって海氷域面積が減少したわけです。
 
古い氷もどんどんなくなっている
北極には夏になっても溶けずに数年残っている氷があります。そういう古い氷も溶けていってます。古い氷は冬に育つ氷のベースとなるので、海氷域面積の減少につながっていくのです。
 
北極の氷がなくなる
コンピューターモデルでは、2040年の夏に北極の氷は消滅すると予想されています。
北極の氷は毎年9月に面積が最小になるんですが、現在ではその面積はおよそ6000立方キロメートル。そして、北極の氷は10年で約3000立方キロメートルというハイペースで減少していっています。北極に氷がないという異常な事態がやってくるんです。
 
狂った実験
北極の変化を引き起こしているのは地球温暖化です。地球温暖化温室効果ガスが原因。そして、温室効果ガスは人類の化石燃料の消費によって激増しています。
北極の消滅を一例として、地球温暖化が及ぼす影響は様々です。何が起こるか全部予想することはできません。イーロン・マスクはこれを「狂った実験」と呼んでいます。
 
さて、ここまでが記事の内容ですが、ここからわかることは何でしょう。
 
平均気温よりも注意すべきことがある
19世紀から科学的な気温の観測がはじまりました。そこ(1906年)から2005年までに、地球の平均気温は0.78℃高くなりました。0.78℃。どうってことないんじゃない?と感じる方もいるでしょう。
ですが、0.78℃の上昇はあくまで地球の平均気温です。地域によって気温の上昇具合も違うし、影響も違う。北極の状況はその良い例なんです。イーロン・マスクが平均気温を気にしすぎと言ったのはこういうことでしょう。私たちは地球の全体的な温暖化を経験していると同時に、局所的に大きな気候変動も経験している。この事実を見過ごしてはいけませんね。
 
 

参考

www.techinsider.io

スペースXの船上着陸失敗は予想どおりだけど打ち上げには成功したよ

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ファルコン9ロケット22号機の打ち上げが成功しました。SESの通信衛星の軌道投入です。人工衛星が投入されるのは静止軌道。最近の打ち上げでは人工衛星を低軌道へ投入していたので、ここらへんが今回のミッションの特徴でしょうか。

 

SESは人工衛星を取り扱う企業です。SESによると、今回の通信衛星をつかって北東アジア、南アジア、インドネシアへ通信サービスを提供するそうです。

 

打ち上げは何度か延期されてなかなか順調にはいきませんでした。色んな要因がありました。ロケットに搭載された液体酸素のトラブル、強風、進入制限エリアへのボートの侵入などです。カウントダウン残り数秒でのシャットダウンなんかはすごかったですね。最終的には成功したのでよかったですよ。

 

さて、注目されていたのはファルコン9ロケット一段目の船上着陸。再使用ロケットのための技術です。過去に何度も失敗している船上着陸ですが、スペースXは諦めません。

 

しかし、結果は「予想どおり」失敗。「静止軌道への投入ということもあり、着陸の成功は望めません」スペースXは事前にこのように述べていました。仕方ないですね。

 

イーロン・マスクのコメントはこちら。

 

ロケットの船上着陸は激しいものだった。期待はしてなかったけどね(非常に高温の再突入)。しかし、次の打ち上げは期待できる。

 

今回の人工衛星ペイロード)が目指すのは静止軌道でした。静止軌道は赤道から3万6000キロも離れたところです。一方、低軌道は高度2000キロ以下を指します。距離がぜんぜん違うわけです。

 

しかもペイロードの重さは5300キロもありました。これはスペースXが静止軌道へ投入したペイロードのなかでもっとも重い。とまぁ、こんな感じの違いで最初から期待されてなかったのです。

 

ちなみに、スペースXのファルコン9ロケットは陸上への着陸には成功しています。しかし、海上への(船上)着陸は難しい。

 

それでもスペースXは海上に浮かべた船(ドローンシップ)へのロケット着陸に挑戦しつづけます。彼らがどうしても船上着陸技術を手に入れたい理由についてはこちらをご覧ください。

elongeek.hatenablog.com

 

次のミッションは国際宇宙ステーションISS)への補給(の予定)です。ISSは約400キロの低軌道をぐるぐるまわってます。静止軌道よりぜんぜん低いです。ロケットの着陸も予定されています。イーロン・マスクも成功を予感していますし、楽しみですね。

 

 

参考

www.theverge.com

losangeles.cbslocal.com

www.pcworld.com

arstechnica.com

イーロン・マスクのスピーチに隠された秘密

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人々はイーロン・マスクに魅了されます。能力や実績はもちろんのこと、彼のスピーチもきわめて魅力的。そこにはある秘密が隠されていました。
 
その秘密とは「現在形(現在時制)の多用」です。
イーロン・マスクはスピーチのなかで現在形を多用するのです。
 
秘密を暴いたのはNoah Zandanという人物。コミュニケーションを分析し、その結果をサービスとして提供する会社であるQuantified Communicationsの創業者・CEOです。
 
彼によると、イーロン・マスクは一般的な人々より4倍も多く現在形をつかっているそうです。
 
Zandanと彼のチームは、過去5年間におこなわれた40ものイーロン・マスクのスピーチを調べました。テスラの収支報告も含まれています。
 
一例として彼が提示したのがこちら。(黄色でハイライトされているのが現在形、未来時制は緑色です)
イーロン・マスクがいかに現在形を多用しているのかわかりますね。

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ZandanはQuantified Communicationsで様々な人々の何百万というスピーチを定量化して人間のコミュニケーションのデータベースをつくりました。それらのスピーチを分析し、要素に分解して、徹底的に調査したのです。
 
その結果、イーロン・マスクに限らず、優れたリーダーは現在形を多用していることがわかりました。
 
彼らのスピーチでは一般的な人々よりも現在形が15%多く、未来形は14%少なかったそうです。
 
説得力があり、行動をおこさせるようなスピーチをするリーダーたちに共通する特徴だったのですね。
 
イーロン・マスクは火星移住、電気自動車や自動運転車の普及など輝かしい未来を約束してくれます。しかし、彼はそれをただ未来のこととして語るのではありません。現在すでに進行しはじめていることとして語っている。だから聴衆は魅了されるのです。
 
未来を現在に直結させる。イーロン・マスクの魅力的なスピーチの秘密は時制のつかい方にありました。
 
 
 

参考

イーロン・マスクが燃料電池車をバカにする理由

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燃料電池車と電気自動車の比較。イーロン・マスク電気自動車のほうが優れていると結論づけています。

水素はエネルギー貯蔵のメカニズムです。エネルギー源ではありません。水素はどこからか取りださなければいけません。水から取りだすとすれば、H2Oを分解するわけです。電気分解はエネルギープロセスとしてきわめて効率が悪い。水を分解して、水素を取りだし、酸素を捨てて、水素を非常に高圧の状態に置いて(もしくは液化)自動車に乗せ燃料電池を稼働させる。太陽光パネルからバッテリーパックを直接充電する場合とくらべて効率性はおよそ半分です。ひどいものだ。なぜそんなことをするんでしょう。わけがわかりません。
 
イーロン・マスク燃料電池車をバカげていると言い放ちます。そこで、今回はイーロン・マスクがなぜ燃料電池車を批判しているのか考えてみたいと思います。
 

燃料電池車と電気自動車

燃料電池車は水素をつかいます。空気中の酸素を外から取りこんで、水素と反応させることで電気を発生させます。その電気をつかって走る自動車です。
 
電気自動車は送電線からやってくる電気をつかいます。送電線からくる電気をバッテリーに貯めておいて、その電気をつかって走る自動車です。
 
つまり、どちらも最終的には電気をつかいます。化石燃料を(直接は)つかわず、温室効果ガスはだしません。ガソリン車とは違いますね。
 
現在、化石燃料をつかっている発電所が多いです。まだ発電のところがクリーンではない。しかし、将来的には再生可能な発電にシフトしていくでしょう。そうなれば、燃料電池車も電気自動車も完全に化石燃料フリーです。
 
化石燃料には枯渇・地球温暖化のリスクがあるので、燃料電池車と電気自動車が注目されているわけですね。
 
競合する技術である燃料電池車と電気自動車。どちらが優れているのでしょう。
 

水素の特徴

燃料電池車がつかうのは水素。なので、水素の特徴をみてみましょう。
 
水素をつくる) 水素はそのままのかたちでは(地球上に)存在していません。なので、水素をつくる必要があります。そのために、水を電気分解します。水に電圧をかけて水素をとりだす。つまり、電気をつかって水素をつくるわけです。
 
※現在のところ主流なのは化石燃料天然ガス)からつくる方法です。しかし、これだと化石燃料をつかうので今回は無視します。化石燃料依存から脱却するには水の電気分解が(いまのところ)ベストです。
 
水素を運ぶ) とりだした水素を自動車まで運ばなければなりません。水素を運ぶには圧縮や液化させる必要があります。
 
つまり、電気で水素をつくり、運んだ水素から電気をとりだすわけです。
 
電気自動車が送電線をつうじて手に入れる電気を、燃料電池車は水素を経由して入手している。水素を経由することによって発生する電気エネルギーのロスをイーロン・マスクは批判しています。
 
彼は太陽光パネルを持ちだしていますがちょっとそれは置いといて、一般的な送電線と比較してみましょう。
 

送電線との比較

発電所でつくられる電気がスタート。自動車を走らせることがゴールです。燃料電池車も電気自動車もスタートとゴールは同じ。電気を水素にして運ぶor送電線で送るという違いだけ。
 
つまり、どちらが発電所でつくった電気をロスなく自動車を走らせることにつかえるのか。ここをみればいいんです。一目瞭然の図があるのでご覧ください。
 

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Why a hydrogen economy doesn't make sense

※リンク先の図を和訳したものです
 
明確ですね。スタートの電気を100kWhとして、燃料電池車がつかえるのは19kWh~23kWh。一方、電気自動車がつかえるのは69kWhです。
 
水素の圧縮・液化どちらのケースでも、燃料電池車は電気自動車よりも電気エネルギーのロスが大きいということです。
 
つまり、電気自動車のほうがロスなく効率的に電気エネルギーをつかえます。
 

結論

燃料電池車か電気自動車のどちらが優れているか。考えることはいろいろあるでしょう。インフラ整備コストや充電時間の長さなど、現時点で燃料電池車と電気自動車それぞれにメリット・デメリットがあります。
 
そういうときはゴールから考えるとわかりやすい。水素ステーションなどのインフラ整備が完成した。電気自動車の充電時間が短縮した。双方の現在の問題点が改善された社会がゴールです。
 
そのような未来でも、電気エネルギーロスの差は縮まりません。水素の物理的性質によるものだからです。
 
ということで、ゴール到達時点でどうしようもない電気エネルギーのロスの差があります。なぜあえてロスの大きな水素をつかう社会を目指すのかわからない。イーロン・マスク燃料電池車をバカげていると批判するのはこのためです。辛辣な言葉ですが、本質的な意見ではないでしょうか。
 
 
 

参考

次は電気飛行機!?イーロン・マスクが思い描く飛行機の未来

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イーロン・マスク製の電気飛行機が誕生するかもしれません。ハイパーループのポッドコンテスト授賞式でイーロン・マスクが電気飛行機について語った内容が世間を騒がせています。
 
「電気飛行機の会社というアイデアを気に入っています。とてもクールで超音速の垂直離着陸可能な電気飛行機は実現可能だと思います。とても楽しいでしょうね。頭のなかには設計図もあるんです」とイーロン・マスク
 
火星移住を見据えたスペースXのロケット。化石燃料依存からの脱却を目指したテスラ電気自動車とバッテリー。そして新しい交通機関であるハイパーループ。イーロン・マスクは壮大なプロジェクトを複数すすめていますが、電気飛行機が次のプロジェクトになるかもしれないのです。スペースXやテスラで途方もないアイデアを実際に製品化している実績を考えると、イーロン・マスクの電気飛行機には期待してしまいますね。
 
じつは電気飛行機の話題がでたのは今回がはじめてではありません。昨年のインタビューでもイーロン・マスクは「電気飛行機の垂直離着陸について少し考えてみています」と答えていました。さらに「(電気飛行機)に取り組むのはとても魅力的です」という発言も飛びだしていました。
 
ちなみに、イーロン・マスクのアイデアは垂直離着陸可能な電気飛行機です。垂直離着陸可能で滑走路は不要。電気飛行機なので化石燃料は消費しません。かなり魅力的な飛行機です。
 
じつは電気飛行機というアイデア自体は珍しいものではありません。すでにエアバスイージージェット、XTI Aircraftといった会社が電気飛行機のプロジェクトに着手しています。
 
ただ、電気飛行機の実現にはより軽くより空気抵抗を受けない機体が必要になるので、エンジニアリングの発展を可能にするハイレベルな投資やそれ相応の時間はかかるでしょう。しかし、ハイパーループでやっているようなイーロン・マスクの後押しがあれば電気飛行機の実現はそう遠くないかもしれません。
 
一点付け加えておくべきなのは、そうは言ってもイーロン・マスクが一番おすすめしているのは地下トンネルの建設だということです。「ただ地下に穴をあけるだけです。そんなに難しいことじゃない。都市にトンネルがあれば大きく渋滞を解消できるでしょう。」とのこと。「30層のトンネルで人口が密集する都市の渋滞を完璧になくせると思います。なので、トンネルを強くおすすめしますね。」だそうです。イーロン・マスクは空飛ぶ車について聞かれたときもトンネルを掘ったほうが現実的・効率的と言っていましたね。
 
地下トンネルで渋滞がなくなり、自動運転の電気自動車が街を行き交い、都市間の移動はハイパーループか電気飛行機。それらの動力源である電気は太陽光パネルで発電し、安価な大容量バッテリーでインフラを支える。さらには地球・火星の惑星間移動も可能に。イーロン・マスクがインストールしようと思い描くシステムは壮大過ぎます。
 
 

参考